序章 こじらせていた学生時代
昔遊んでいた人に
「セックスですか?もう飽きましたね。知り合いはほとんどクスリで遊んでますね…」
と言われた事がある。
クスリの事は置いといて…昔遊んでなかった私は頭をガツンと殴られた気がした。
昔遊んでなかった…いや、遊べなかった。
女性に相手にされなかった。
大学時代、何度も女性を口説いて…断られた思い出がフラッシュバックする。
そのせいか勉強ばかりしていた。が、その勉強もさほど成功した訳でも無い。
だったら不良のように勉強せずに遊べば良かったのではないか。
いや、不良のように遊んだからといって女性に相手にされたかどうか分からない。
私は空想上のメーテルに導かれて…
正直者になれ、空気を読め、人の金は盗むな、誠実で責任感を持てと育てられた。
騙されて機械の王国の奴隷になる寸前だった。
機械の王国の消耗品の圧縮弁のボルトになる寸前だったのだ。
私は様々な欲望を体の中に抑圧していた。
が放出する術が無かった。
私は貧乏で不細工だった。
しかも悪になれない優しい男だった。
女性から情けをかけられる要素がなかった。
いや無くなっていたとせめてもの自分の自尊心の為に言わせてもらいたい。
というのは…
自分でも中学の頃は勉強が出来たせいで数人の女の子から好きだと言ってもらえた事があるからだ。
中1の私は躁状態で女の子を笑わせていた。
気になる女の子達に毎日冗談を言っていた。
ある日、真顔で女の子に…キミの事が好きだと言ってみた…
女の子はエッと照れる。
その後…でも白身はちょっと苦手^ ^とか言う。
キミが好きと言うのは…”たまごの黄身”が好きと言う冗談なのだが…
女の子達に2、3日後にトランプあれっどう言う意味?と放課後呼び出されたもんだった。
どう言う意味も何も冗談だよと言うと女の子たちはブチ切れた。
そう言う冗談は特に美少女のYちゃんをターゲットにしていた。
彼女は浅香唯をアジアエキゾチックにした美少女だった。
私は大好きだったがまさか彼女が自分を好きになってくれるとは思っていなかった。
ある日、彼女がギックリ腰になって動けないのを背負って玄関まで連れて行ってあげた。
それから彼女の視線が変わったのを感じた。
だが彼女とちょっとした事で喧嘩をして口を聞かない関係になってしまった。
が、彼女がなんと…友達づてに告白して来た。
蒼天の霹靂と言えば陳腐かもしれないが、私はこれ以上に驚き喜んだことはない。
だが喧嘩している状態からいきなり恋愛モードとはならず、とりあえず文通することになった。
が、時…厨二病真っ盛りであり、中々に拗れていく2人であった。
バレンタインの日にチョコレートをもらえないと勘違いして先に帰ってしまった「チョコ貰えない事件」や「先生に文通見つかる事件」から彼女は急速に冷めてしまう。
次に行けばよかったのにYちゃんに固執して灰色の高校生活を送る事になってしまった。
はじめは足の早い男の子が好きだった女の子達も、僕みたいな勉強が出来る男の子を好きになり…
また、めいめいカラオケが上手い男の子を好きになったり…
ハンサムな男の子を好きになったり、家が裕福な男の子がモテたり…
好みがバラエティーに富むようになった。
そして大学に入ると、女の子たちの持ち物は変わって行った。
ルイ・ヴィトンを持つようになった。
今思えばキャバクラや風俗のバイトで買ったのだろう。
あどけない少女達も値段の張るものを欲しがると…
彼女達にも値段がつくようになった。
彼女達も資本主義にしっかり組み込まれて行った。
そして価値の低い男を恋愛相手として受け入れなくなる。
現代では何の魅力もない男のところに、美人の女房が来てくれるなんて、絵姿女房(日本昔話)のようなおとぎ話の世界にしかない。
私も大学生にもなると…不細工で貧乏で実家が細そうで女の子からもけんもほろろ。
全然相手にされなかった。
俺の事が好きだった幼馴染のKちゃんを受け入れていればと悔やまれたものである。
このように青春ボーナスを活かしきれなかった不器用な恋愛ジャンキーのタイ編である。
読んで皆様の心の痛みが幾分でも癒されるならば幸甚である。
この記事を書いた人
トランプ店長
群馬県生まれ。青森県育ち。
昼はVISAコンサルタント会社。夜はカラオケクラブ「ときめきトンロー物語」。スナックバー「トランプ」を経営。見た目は怖いが本当は優しいナイスガイ。外見は男だが、中身は…レズビアン。
趣味はゴルフ、読書、語学勉強。女性大好き。乳首は吸うが煙草は吸わない。
昼の仕事ではお客様と4時間話し込んで嫁に4時間も何の話しているのかと訝しがられる。
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