タイには7,151人の物乞いがいます。人種別の内訳はタイ人4,686人。外国人2,465人となります。タイの中で一番物乞いが多く見られる地域がバンコクとなります。(2023年10月31日現在の数値 / タイ社会開発・人間安全保証省調べ)
タイに観光に来たことがある方なら小さい子供を連れた物乞いを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。真意は定かではありませんが、観光客が多く集まるエリアや観光地などにいる物乞いは、反社会組織に奴隷のように扱われ意図的にその場所に派遣され”プロ物乞い”として働かされているなんていう話もよく耳にします。
そんな物乞いについてタイの首相官邸の副報道官が報道陣に以下の発言をしました。
「もし物乞いを見かけてもお金をあげるべきではありません。」
過激ともとれるこの発言の真意とは?以下、詳細です。
チョンブリー地域に観光に来ている観光客から、物乞いが重要な観光名所に居座って物乞いをしているとの苦情が多数あがりました。苦情の内容は、物乞いは観光客に迷惑をかけるし、観光都市のイメージ破壊に繋がるとの声でした。
こういった観光客の声に対し、2024年2月3日首相府副報道官ラドクラオ・インタウォン・スワンキリ夫人が記者会見の場で、政府は関連機関と協力しこの声に対し改善を目指すと述べた。さらに、物乞い組織のパトロールと監視の強化。歩道や公共の場所での違法行為に対する厳格さと監視を継続的に強化すると述べました。
タイでは物乞いは違法となっており、もし捕まったら1ヶ月以下の懲役または10,000THB以下の罰金、あるいはその両方が課されます。
さらに、もし外国人物乞いの場合、個人の場合は逮捕・起訴され処理が終了した段階で、出身国に強制送還されます。子供連れの場合は血縁関係を証明するために、まずはDNA検査が行われます。血縁関係が判明すれば、違法行為が行われた所轄の警察署に結果が報告されたのち出身国に強制送還。もし、血縁関係がなかった場合は、2016年物乞い規制法第22条または、人身売買防止および抑制法に従って手続きが進むことになります。
首相府副報道官は最後にこう締めくくりました。
「もし物乞いを見かけても違法行為を助長しないため、お金をあげるべきではありません。それは、国のイメージを維持するのに役立ち、この問題を解決するもう1つの方法となります。もし、物乞いを見かけたらホットライン1300にご連絡ください。人民福祉管理加速センター(C.R.S)は24時間対応しており、現場を視察するために迅速に機動作戦チームを派遣します。」
タイではタンブン(善行を行う・徳を積む)の精神が染み付いており、物乞いにお金を恵んでいる優しい方をよく見かけます。でも、恵んだお金が物乞い本人ではなく反社会組織に流れていたとしたら?
参照:อีจัน