タイ人ガールとの束の間の出会いを求めてキモオタ肥満男がタイ全土を駆け巡る「早撃二郎のタイ77県珍紀行」は早くも4拠点目。
今回の舞台は初登場東部2県のチャンタブリー県とトラート県。「え、それどこ?」と首をかしげる読者も少なくないだろう。
そう、いずれも近くて遠い取り立てて印象の少ない県。だがそれなりに見所もある隠れたスポット満載の街でもある。
早速ご案内といこう。
チャンタブリー県の観光名所とは?
タイ東部チャンタブリー県は一部を隣国カンボジアと接する国境の街。
人口は全域で50万人を超えるほどで他県を凌ぐ目立った産業もないがかつては宝石のルビーやサファイヤなどの原石が産出したことで知られる。
このため主立った採掘が終わった今でも街の一角には宝石市場が広がり多くの国際バイヤーで賑わうなど他にない特色を持つ。
市場は、市中心部トロックカチャン通りとそこから伸びるいくつかの細い小道のソイ・クラチャンに集中する。
中東やインドなどから宝石を買い付けに来たのかイスラム帽をかぶった鑑定士や頭にターバンを巻いたシーク教徒とおぼしきバイヤーの姿もある。
ここだけ時空を越え中世の西アジアに転じてしまった印象を受ける。
インドシナに植民地進出していたフランスが一時、当地を占領したことから仏教の国タイにあってキリスト教の要素が目立つのもこの地方の特徴と言えるだろう。
市街地を貫くチャンタブリー運河のほとりに建つ「チャンタブリー処女降誕聖堂」がその代表例だ。
厳かな造りながらも見事なまでに周囲とはアンバランスな西洋建築物。広場にはマリア像があって、ここがタイ?と疑ってみたくもなる。
一方、中心部からほぼ真北に約35キロ。
カオ・キッチャクート国立公園にある巨大岩「カオ・キッチャクート」も他では見られない光景を放っている。
その険しさと物々しさから中国の旧正月(1月下旬から2月上旬にかけて)から2ヶ月間ほどしか開山しない神秘の山。
期間中は24時間の参拝が可能で多くの信者が登山する。
沿道にはダーウルーアンという小さな黄色の花が岩にへばりつくように咲き乱れ仏陀(釈迦)の足跡として崇め奉られている。
今回の旅は高速バスからのスタート
今回タイガールとの出会いの場を東部方面にしたのはこれまでと同様「師匠」の「お告げ」があったからにほかならない。
この夏に再会した時、酒を飲んでいる席でふと思い出したように「海沿いのタイの東部もいいですよぉ。
トラートにはカンボジア人の置屋があって…」と呟いた師匠。僕はすっかり暗示にかかって当地を目指すことにしたんだ。
これまでとは違ってバンコクからは高速路線バスを使ってみた。
バンコク・エカマイにある東バスターミナル。早朝の便でここを出発した僕は従来にない旅の予感に心が弾んだ。
これまで訪ねた場所はそれなりにマッサージパーラー(MP)やバービア、置屋情報などで知られていた風俗御用達県。
ところが今回はそうした情報がほとんどない東端の2県。
わずかにチャンタブリーにローカルMPがトラートのチャーン島にカラオケがあるらしいことは聞き及んでいたけど実態はほとんど把握ができていなかった。
それだけにワクワク感が満載だった。果てしない荒野を一人で踏破し切り開いていくという感じか。
これまでの旅と冒険で僕はすっかり磨かれ「ハンター」気分になっていたのだ。
「狙った獲物(お姉ちゃん)は逃さない」。そんなふうに言ってもよかった。
腹の出た風貌とほとんど冴えない小太り感は何も変わらなかったけど…。
僕が乗ったバスが目指したのは、東部最大の繁華街パタヤーのバスターミナル。
そう僕はここでバスから乗り換えレンタカーを借りる予定でいた。すでにネットで予約は済ませていた。
乗ること2時間と少し。バスは見慣れた降車場に到着。ドアが開くと待っていたのはモーターサイ(バイクタクシー)の運ちゃんたちだった。
「ホテルまで送るよ」僕はそれらの声を振りほどくと
表の通り近くに止まっていたソンテウ(トラック型のタクシー)に向かってキャリーバックを転がした。
「セカンドロードのレンタカー屋までやって!」
レンタカー屋で待っていた従業員のお姉ちゃんはややポッチャリめながらも笑顔の可愛い20歳ぐらいの女の子。
入念に配車をチェックした後に「どうしてパタヤに泊まらないの?」と不思議そうな表情で僕を見つめた。
「今日はこれからチャンタブリーに行くんだ。その後はチャーン島まで。
君がここにいると分かっていたなら今夜はパタヤに宿を取ったのに」と僕。
何だかんだ適当なことを並べ立てながらもしっかり彼女の電話番号とLINEのIDだけはゲットしていた。
拡張されたウタパオ国際空港を視察
チャンタブリーまではラヨーン県の内陸部を横断すれば200キロもない。
でもせっかくだからとタイ政府の肝いりで開発が進むウタパオ空港周辺を見学していくことにした。
海岸線を走る国道3号線。間もなくウタパオ空港の標識が見えるという頃になると周辺の至る所で道路の拡幅工事や商業開発が行われていることに気づいた。
後で分かったのだけどウタパオ空港は海軍の管理する軍民共用空港。
これまで大規模デモで首都圏空港が占拠された時の緊急の受け入れ先として利用されたことはあってもパタヤーから南にさらに1時間以上もかかることもあって表だった使用はされないでいた。
それが政府によってスワンナプーム、ドンムアンの両空港に続く第3の首都圏空港として位置づけられたことから状況が変化。
滑走路と旅客ターミナルをそれぞれ新設拡張し国内線国際線ともに拡大していく計画なのだという。
なるほど近くの内陸部にはイースタンシーボード、アマタシティーといった工業団地がいくつもある。
こりゃ『タイの製造業も当分は大丈夫だな』なんて思った。
目的地に到着!昼食をとりホテルへ
正午前ようやくチャンタブリー市街地に到着。
すっかりお腹がすいたのでここが発祥という或るクイティアオ店に入ることにした。
何が発祥かって?
そう、開業30年以上というこの名物店「ジェーイード・リムナーム」の一押しはシャコ(タイ語でガン)が入ったクイティアオ。
透明なスープにシャコがいくつも惜しみなく投入されている。
その上には新鮮なパクチー。値段はピセー(全部乗せ)で100バーツと若干高めだけどあっさりめで十分堪能することができた。
営業時間は午前9時から午後4時まで。旧市街のスカピバーン通りの川沿いにある。
食べた後は近くの仏教寺院を見学。ここにもたくさんいた。小旗を掲げて歩く中国人の団体ツアー客が。
世界中どこにでもいるとされる中国人だけどこんなタイ東部の辺鄙な街にもいるのかとさすがに驚いた。
こりゃあ、負けちゃいられないね。特に夜の部は。
今夜の宿として僕が選んだのはチュワンチューム通り沿いにある改装間もない「JPチェックイン」というビジネスホテルだった。
なぜここにしたのかって?
だってすぐ目と鼻の先にはカフェ併設の「セーンウタイ・マッサージ」や「マリナ・ボディマッサージ」
そう、ここは言わずと知れたチャンタブリーのMP街(といっても2軒しかないが)
まずはここでお姉ちゃんの品定めというのが僕のツアー初日の戦略だった。
店内は豪華だったが女がまったくいなかった。 コンチアに聞いてみると早い時間にこないと女は予約で埋まってしまうそう。
楽しみだったMP巡りで、あれれ?
夕飯を済ませた後の午後9時前。僕はセーンウタイ・マッサージのひな壇前のボックス席にいた。
左手奥には誰が利用するのか予想もできない古びたカフェ。ひな壇に座ってテレビを見ているのは7、8人のタイ人ガール。
とはいえ半分ぐらいはちょっとお相手が難しい感じ。
その中で僕が選んだのはムクダハン出身23歳のルナちゃんだった。
ムクダハンはタイ東北部(イサーン地方)の中でもメコン川沿いの東北方面の国境の街。
これまでバンコクにすら行ったことがなくチャンタブリーとムクダハンを行き来しているのだという。何ともよく分からない説明だった。
指名後、一緒に階上の個室に向かう。ところが階段の天井隅には蜘蛛の巣が至るところにありお世辞にも衛生的とは言えない。
給湯器の調子も悪いようで出てくるお湯はぬるま湯程度。ベッドも含め調度品は古く使用感がかなり強かった。
いざ、プレイとなってもこちらもちょっと残念だった。
きれいに身体は洗ってはくれるものの手つきや仕草はすっかりとお仕事モード。
僕の手は触れさせてもくれず最後までマニュアル通りのサービスと言ってよかった。
これで〆て1700バーツ。所定は90分だが60分にも達しなかった感じがした。物足りない感だけが寂しく残った。
その後もう一軒のマリナ・ボディマッサージやカラオケ店も数軒回ってみたが
時間も遅くてお姉ちゃんは指名客にすっかりさらわれ半ばもぬけの殻の状態に。
僕の失望感は大きかった。立ち直れないかもしれないとも思った。でもここでくじけてはいけない。
僕は力の限りを振り絞って次なる目的地トラート県を目指すことにした。