チェンマイ県 (上):早撃二郎のタイ77県珍紀行

魅力的で可愛いタイの女の子との出会いを求めて、キモオタ肥満男がタイの全県を駆け巡る「早撃二郎のタイ77県珍紀行」は
今回から新天地、タイ第2の都市チェンマイ県編がスタートする。

少なくない日本人が、老後の第2の人生をここで過ごしたいと考えるというタイの古都。
山々に囲まれた静かな盆地が、旅人に止まらず多くの人々を魅了させ、そう思わせるのだろう。
僕も常々いつの日か、この街の不思議な魅力に触れてみたいと思っていた。
それだけに、出発前からボルテージもピークに達していた。

ところが、である。
そんな時に舞い込んできたのが、現在は日本で暮らしている啓愛する師匠からの連絡だった。

「そろそろ日本に戻って来ないか。別の仕事が待っている」

という短い知らせ。
出張取材並びにこの連載を打ち切り、日本に帰って来いとの通達だった。
僕は悩んだ。タイ全77県の制覇を目指して始めたこの企画。わずか19県で幕を閉じようというのか。

それでも、師匠の声は〝神の声〟

僕が一人でタイに残ったところで、師匠に代わってアドバイスを与えてくれたり、あれこれと指図してくれる人はほかにいない。
しばらく悩んだ末に出した結論は、後ろ髪を引かれる思いの中での撤退だった。
無念だが、仕方がない。
というわけで、本連載は次回チェンマイ県編(下)が最終回となる(涙)

最後の旅はバイクで観光地を巡る

チェンマイへは、乾季が始まって日和りの良い10月下旬の某日に向かった。
心配された野焼きによる大気汚染も今年はそれほどではないようだ。
旧市街の城壁のやや東寄りの場所に宿を取った僕は、市内をくまなく散策するために近くのレンタルバイク店で移動の足を調達することに。
「タワン・ベッド・クラブ」という白髪の店主が営む店でバイクを借りることにした。

店主はこの道20年のベテラン。店内店外とズラリと並んだバークは優に50台以上。
なかなかのやり手のようだ。貸出するバイクの種類は125ccのものと150ccの2種類。
僕はバンコクでも乗り慣れたホンダのPCX150を借りて、2日分のレンタル代500バーツを払った。
125ccのほうは1日250バーツと半額だったが、ここは坂道も多く馬力があったほうがいいと判断した。

ちなみに、タイ国内のレンタルバイクは概ねどこもそうだが、借りる際にはパスポートを預けなければならない。
抵抗のある人は現金を積むことで替えることもできるが、それも交渉次第。
最低でも5千~1万バーツは保証金として預けなくてはならないようだ。
※「タワン・ベッド・クラブ」店主。人の良さがにじみ出ている笑顔

※「タワン・ベッド・クラブ」外観

※レンタルしたバイク

バイクを借りて真っ先に向かったのが、首長族として有名な少数民族カヤン族の村「バーン・トン・ルアン」だった。
国際的な人気観光スポットで、首長族の人々の生活や伝統の踊りなどを見学することができる。
入村料は一人500バーツ。
カヤン族のほか、カレン族、モン族、リス族、カヤオ族、パロン族、アカ族、ラフ族らが暮らしている。
※国道1096号を走ると「バーン・トン・ルアン」のこの大きな看板が見えてくる

村はチェンマイ市街中心部から北に40分ほどの山間部にあった。
国道107号線を15キロほど北上し、1096号線を左折すると道幅の狭まった山道となる。
しばらく直進し道路左手に村の案内看板が見えたら、そこから500メートルも進めば大きなアーチが玄関口だ。
※小道を奥に進むと見えてくる「バーン・トン・ルアン」の入口

受付でチケットを購入し、ゲートにいた少数民族出身と思しき係員の少年に渡す。
そこから先一円が目指す少数民族の村だった。
頭上のゲートには首長族のイラスト。僕は興奮を隠すことができず、歩速を早めて中に入った。

入村してすぐにあったのがカレン族の村だった。
住宅兼作業小屋の軒先では、手作りのアクセサリーなどが観光客向けに販売されていたほか
建屋の2階では軽快な音を立ててカラフルな布を織る作業が続けられていた。
カレン族の人たちはみな人懐っこい人たちばかりで、彼らの生活の一端も垣間見ることができた。
※民家の2階で布を織るカレン族の女性

※自慢の布を見せてくれるカレン族の女性

※民家の軒先では土産物が売られていた

次のラフ族の村でも、色とりどりのアクセサリーや帽子などが店先に並べられ売られていた。
ただし、色彩や紋様はカレン族のそれとはいずれも異なった独特の作り。
少数民族ごとに、ここまで違うのかと感心した。
※ラフ族の帽子とアクセサリー

※どの民族の軒先にもこのような土産物が売られている

※軒先に座っていた高齢のラフ族の女性。耳には大きなピアスが付けられていた

さらに先のモン族の村では、一辺が2メートル近くもあるカーペット大の大型の布を見せてもらった。
黄、青、赤とカラフルに刺繍が施されており、制作には1年を要したとか。
気になる値段を尋ねてみたところ「7000バーツよ!」と制作したご本人。
このほか、伝統の紋様や染め方をした布で作ったマフラーやリュックなども販売されていた。
隣接する鍛冶場では、男性の職人が伝統の首飾りなどを制作していた。
※7000バーツのモン族伝統の布を広げる女性

※笑顔で撮影に応じてくれたラフ族女性

※伝統の首飾りの制作をしていたラフ族男性

リス族の集落は他よりも小規模で2、3軒ほどとこぢんまりとしていた。
ここでも冠り物や手足に結ぶ布製の装飾品が販売されていたが、いずれも赤や黄を基調とした鮮やかな原色が特徴。
色彩一つだけでも、受ける印象は大きく異なった。
※リス族の帽子やカバンは他の民族に比べてカラフルだった

※リス族の女性

次の訪れたのが、念願の首長族、カヤン族の村だった。
集落は山頂に向かう中腹にあり、集落の規模としても一番大きかった。

「こんにちは」

と声を掛けて寄ってきたのは、カヤン族の若い女の子たち。
みな幾重にも輪を首に巻き付けていた。日本人好みの笑顔の素敵な可愛らしい女の子が多かった。
※首長族(カヤン族)の女性たち。他の民族よりも若い子供などが多い印象だった

この村で一番首が長いというおばあさんに話を聞いた。
首飾りは真鍮製で、リングの数は多い場合には20巻き以上にもなるという。
一度首に巻いたら通常は外さないのが習わしだが、観光客向けに縦に切断したものも展示されていた。
観光の記念にこれを首に付けて写真を撮る人が多いという。
ちなみに、おばあさんや女の子たちが巻いているものと同じ首飾りは8000バーツで販売されていた。
※この集落で一番首が長い女性と真鍮製のリング

その先にあったのがパロン族の集落だった。
他の村と同様に伝統模様に彩られた人形や帽子、アクセサリーなどが軒先で販売されていた。
その傍らでは、2、3歳であろうか、小さな子供がハンモックに埋もれて寝息を立てていた。

すると、建物の奥から、一人のおばあさんが姿を現した。
おばあさんは人懐こい笑みを浮かべ、僕との会話に応じてくれる。
その時、ふとその口元が真っ黒なことに気が付いた。「お歯黒かな」と僕は思った。
そこで、質問してみることにした。
※歯が真っ黒なバロン族の女性

「おばあさんの歯はどうして真っ黒なのですか。パロン族の女性はみなそうしているのですか?」

ところが、おばあさんは「違う、違う」と笑いながら首を横に振る。
「これよ」と奥から出してきたのが「キンマ」だった。
※キンの葉に様々な植物の粉をのせたもの「キンマ」

キンマとは
ヤシ科の植物ビンロウの実であるビンロウジを細く短冊状にするか
すり潰したものをコショウ科の植物キンマとともに口に入れて噛みその香りを味わう嗜好品だ。
噛む際、少量の石灰を含ませることで化学反応を引き起こし、口の中に溜まる唾液は真っ赤に変わる。
同時に、軽い酩酊感が全身を覆う。麻薬に通じるものらしい。

噛み終わったキンマは、胃を痛めるため唾液とともに吐き出す。
おばあさんの歯が真っ黒だったのは、長年キンマを愛用した結果、赤色色素が沈着したものと分かった。
キンマは中国南部から東南アジア以南の熱帯にかけて自生する植物で
似たような嗜好品が遠く海の先パプアニューギニアでもあったことを僕はふと思い出した。
※「キンマ」を噛むパフォーマンスまでしてくれた

最後に向かったのが、別の山の中腹にあったアカ族の村だった。
ここでも同様に民族衣装や装飾品が売られていたが、陳列品の中に木の皮で巻いたものがあるのに気付いた。
売り子の女性に聞いてみると、アカ族の巻タバコだという。
そこで、タバコの葉を栽培している畑を見せてもらうことにした。
※アカ族の女性

※アカ族伝統の巻きタバコ。1本10バーツで販売されている

畑は山のさらに上にあった。
日本の大葉にも似た青々とした葉が、巻タバコの原料になるのだという。

「吸ってみるか」

と尋ねられたので、1本お願いしてみた。
咳き込むかな?とも思ったが、意外にもえぐみも少なく、味もごく普通のタバコだった。
1本10バーツで販売されていた。
※この葉っぱがタバコの原料となる

※アカ族が儀式で使うブランコ

山を下りて受付に戻ってみると、少数民族の子どもたちが熱心に宿題に励んでいた。
カメラを向けると興味津々集まってきたので「ハイ・ポーズ!」と記念撮影。
お菓子を買ってあげると、みな喜んで「センキュー・ミスター」と話していた。
※少数民族の子供たち。カメラに興味深々だった

夕食の後、夜のチェンマイを巡る

宿にいったん戻った僕は、日が落ちるのを確認して夜の街へと繰り出すことにした。
まず、目指したのは旧市街の城壁北側に近年オープンし、若者に大人気の「チェンマイホルモン」
日本人がオーナーのイケてる屋外型焼肉店だ。
※「チェンマイホルモン」外観

19時には到着したというのに、すでに黒山の人だかり。
辛うじて空いていた席に腰を落ち着かせ、定番のホルモン、カルビ、牛タン、ハラミなどを平らげた。
最後に茶漬けで〆たが、それでも一人700バーツも行かない。
そのクオリティーには舌を巻いた。

チェンマイホルモンの向かいには同じオーナーが経営しているという居酒屋の「ガガガ咲か場」もあった。
チェンマイの新たなスポットであることは間違いなし。
それにしても、向かいの席に座った2人連れの中国人?台湾人?香港人?超可愛かったな!
※可愛い女の子たち。この日、遭遇した女の子の中で一番可愛かった

腹も膨らんだことで繰り出したのが、チェンマイで有名なバービア街。
最奥部にムエタイリング「ロイクロー・ボクシングスタジアム」がある一角だ。
ここで僕は一番熱心に客引きをしてきた「ポッピーバー」という店に入り、好みの女の子を2人つけた。
※ロイクロー・ボクシングスタジアムがあるバー街

※バービア街の中でも一番勢いのあったPOPPY BAR

一人は色白の地元チェンマイ出身の21歳メイクちゃん。
もう一人が自称32歳のパーイ出身ノックちゃんだった。
メイクちゃんは、おとなしめのおっとりとした性格。巨大な胸に目が釘付けとなった。
一方のノックちゃんはイケイケのノリノリ。僕に抱きついてくと、手を胸に当て誘ってきた。
※21歳のメイクちゃん。巨乳に釘付けになった

※自称32歳のノックちゃん

連載最後の出張取材は、こうした無事、初日が終わろうとしていた。