第48話:半同棲17日、僕の彼女は一発、10万バーツ?

あ~納得。だから彼女ができないんだなと思う男の特徴

  • 細かい、自分ルールがありすぎる
  • 表面上は優しいが、実は腹黒い
  • お金に細かい、うるさい

彼女との最後の再会

2015/03/12(木)

パタヤに到着し、彼女と再会した。
僕は彼女をホテルの部屋に招いた。
部屋番号を伝え、上がって来るように言った。
しかし、あなたが迎えに来て、と言った。
今更甘えるか?
出向くと、バイクの所でじっとこっちを見ていた。
僕の愛する女だ…いや愛していた女?
いままで一緒に過ごして来た彼女の表情とは、
少し違った感じに見受けられた。
やや照れ笑いか?
今日の赤いショートのサロペット姿は、妙に色っぽく感じた。
部屋に入る時、彼女に、この部屋覚えてる?、と聞くと
初めて会った時の部屋でしょう?、と答えた。
そう、初めての出会いはこの部屋(34号室)だった・・・
想い出の34号室、あの頃彼女はとても素直だった

そして翌日もこの部屋で一緒だった・・・
思い起こせば、9ヶ月前の事。
それからお互いすれ違いがあり、会えない日々が続いた。
それがかえって距離を縮めた。
やっと会えた時、それも偶然出会えた時
僕達は惹かれる様に寄り添ったっけ。
あれから、いろいろあった。
パタヤ花火大会。
クリスマスデート。
そして、年末のすっぽかし事件・・・
年始のラン島で早上がり・・・
はたまた、彼女が遠くの存在になったり
日本に行ってしまったタイ娘の救出劇があったり・・・
次々に思い出す事は、楽しかった事だけ。

いろいろあった事でお互い、離れられなくなりとうとう半同棲を決意!
半同棲はいろいろな事があった。
それまでのボーイフレンドという存在から
フィアンセ、そしてファミリーの勧めで結婚話しがあったり。
そんな話が出たから、僕は舞い上がってしまったに違いない。
結婚前提なら、当然彼女を束縛出来ると思った。
彼女の過去の多くのカスタマーを振り払い僕だけの彼女に。
過去を清算する事で、きっと彼女は幸せになると。

しかし
そんな僕の考えが甘かったのだと気付いたのは
既にお互いの関係が深く傷ついた後だった。
日本人の普通が通じない
いや、風俗にどっぷり浸かったタイ娘に合せられなかった。

そして最大の問題は
いままで、タイの女の子とのコミュニケーションで不自由を感じた事の無かった僕が
タイ語オンリーの環境に放り込まれた。

意思の疎通さえ出来なかった事もあった。
それどころか、翻訳アプリの誤訳でますます誤解が生じた。

さすがにこれには痛感した、タイ語の必要性を感じた。
そして、僕は決意した。
タイ語の学校に通う事を。
本気で通ったタイ語学校、あのまま通っていれば

だが、それは今となっては遅すぎた。

部屋に入った二人。
いまから何が起ころうとしているのか、
お互い、予測出来ていた。
一緒の空間に居るのに、
彼女がずっと遠くにいるような気がした。

<今日は喧嘩しないよ

そう言った。
が、話が深まるにつれ、お互いの言う事が理解出来ず、
だんだんと険悪ムードに。
そして、最後の問い詰めに、
彼女は、とうとう口を開いた。
あなたが好きだからいままで我慢して付き合っていたけど、
叔母からも、ママからも、以前は多くのお金を要求されていていた。
僕と付き合い始めたら、少なくなった、と。
ファミリーからは、そろそろ仕事に戻ったらどうか?
そんな言葉が出ていた様だ。
彼女を苦しめていたのは、
僕との感情のもつれだけでは無かったのだ。

叔母は、かつてお客を取っていた。
上がると、娘の子供を面倒見る代わりに娘を働かせる。
子供が働ける年齢になると、その娘があがる。
この日本では考えられない悪循環を彼女達は当たり前と思っている。
彼女達はそれを仕方ない事と思っている。
僕はふと思った。
このようなタイ娘達、自分の子供は育てなくて、
いずれは孫を育てるのだと。
自分で育ててしまったら、親はせびる相手が居なくなってしまう。
だから、子供は親が見るのだろう。

そしてお客を取りお金を稼ぐ事は当たり前の仕事。
たとえ彼氏が出来ても、当たり前の様に働く。
それが彼に対して決して不純行為などとは思わない。
仕事なんだから・・・

>タイの女の子はみんなそうしてるよ

・・・
それはその世界にしか生きられない女の子の言葉であって、
タイ全体から見たらほんの一部の女の子の言葉だと思う。
実に哀れに思う。
だからこそ応援してあげたい。
そして、多くの訪タイ者もそういう女の子に貢いでいるのが現状であろう。
中には、すべてを背負い、女の子を救い出す人も居るけど、
女の子自信が過去と決別しない限り、親や親族がその気にならない限り、
その世界からの脱出は不可能だと思う。
自分の自己満足であっても、女の子が喜ぶことなら応援したい。
喜ぶこと=愛=何?

それは”お金”以外何物でも無かった。

次から次へと平気で借金してしまう親・親族、
子育ての為だけで無く、
自分達の贅沢の為に…
子供を見てるんだから当たり前でしょう?、と。
それを背負わなければならない女の子達。
それでもファミリーは捨てられない。
それどころか、女の子の心のよりどころはファミリーのみである。
そんな女の子のすべてを見るって事は、
すなわち女の子の身の回りの事すべてを見る事だ。
僕がもう少しタイ語が話せて、ファミリーを説得できたなら、
そう言う世界からの脱出を考えてあげたかった。

でも、彼女自身がそれを拒んだ。
僕との愛はやはりお金?
その問いには、はっきりとNOと答えた。
愛している人はオンリーユー。
一番長い時間一緒に居られるし、私の部屋に入れるのはあなただけ。
他の男はただのカスタマー。
抱かれるのは仕事だから何とも思わない。
仕事で抱かれているから、プライベートはなるべくしたくない、と言う。
SEXそのもののとらえ方が、日本の倫理から見ると、
ねじ曲がってしまっている様に見える。
可哀相で仕方がない。
そんな感情しか持てなくなってしまった彼女はまだ20歳。

もう長い間、その世界て生きている。
想像が出来ないくらいのカスタマー達が、
今日もひっきりなしに彼女に連絡が入る。
僕と一緒に居る時もだ、、、
遠慮しながらも、そのカスタマーとアポを取る。
そうしなければ、大切な収入源のカスタマーを手放す事になる。
彼女達にしてみれば、カスタマーは大切な財産なんだろう。

恋人の僕は一発、10万バーツ?

僕は彼女と喧嘩した。
怒鳴りまくった。
ベッドをバンと叩いた時、彼女の腿に当たってしまった。
彼女の顔色が変わった。
タイの男は決して物を投げたり叩いたりしない、
彼女は前にそう言っていた。
僕は、溜まっていた言いたかった事をぶちまけた。

他のカスタマーが来ると僕なんてほっぽらかしだろう?どうして?
だってあなたは私のボーイフレンドでしょ?
いつだって一緒でしょ、カスタマーはすぐに帰ってしまう、だから会いに行く。

その論理、僕には理解出来ない。
好きな女が、愛する女が、なぜ僕をほったらかしにして他の男と会いに行ける?
考えてみれば、年末年始、僕は他のカスタマーに彼女を取られた。
愛している人より、目先のカスタマーが大事。
もう何年もそうして来た。

僕の理解を超えていた。
せこい事だが、こんな事まで言ってしまった。
それらのカスタマー達には数千バーツで抱かせる。
僕は3ヶ月の間、彼女を3度しか抱けてない。
僕が彼女にあげたお金は、既に30万バーツを超えている。

<一発、10万バーツ?
<それを聞いても何とも思わない?

そう言うと、さすがに彼女は黙った。
一番愛している人が、一番お金を出して、一番我慢させられている、解る?
正直な事を話した。
1週間、僕はいつ抱かせてくれるか解らない彼女に、
求められた時、応えられないのがつらいと思い、

<僕は毎日、シアリスを飲み続けたんだ

そんな事を知らずに、今日はダメ、と反対を向いてしまう彼女。
僕はずっと勃起しながら、彼女の背中を見ていたんだ。
でも嫌がる彼女は抱きたくなかった。
いつかきっと本当に愛し合える時が来ると信じて。
でも、そんな事も・・・
彼女に言った。

<恋人は今日で終わりにしよう

彼女は、沈黙したままだった。
僕は、彼女が可哀そうで仕方が無かった。
出来る事なら、ずっと一緒に居て、彼女を助けたかった。
でも、彼女の行動には、もうついていけない。
彼女の考え方は同意できない。
また、彼女も変える気は無いであろう。
僕の彼女への気持ちのこだわりを外せば済む事なのだろうけど、
いまの僕には出来ない。

<ごめんね。
<でも今でも一番愛してる
<良いカスタマーになるから…

彼女は答えた。

>UP to U

彼女はいま何を考えているのだろう。
やっとうるさい男から解放されたと?
それにしては、今まで見た事の無いくらい、
悲しい顔をしていた。
お互い、涙した。
僕は彼女を抱きしめた。
そして、こう言った。

<今日だけは、あなたのボーイフレンドで居させて欲しい
<最後のデートをしよう
<そして楽しく別れよう

彼女は頷いた。
そして部屋を出る時、彼女は僕の手を握った。
僕の求めていた彼女はそう言う彼女だった。

僕が彼女を愛しすぎて、疑似恋愛ではいられなくなり、
そして、他のカスタマー達をシャットアウトしようとしてしまった為に喧嘩が絶えなくなった事、
いまとなっては、3ヶ月間、彼女に辛い思いをさせてしまった事を申し訳なく思っている。

彼女はお腹が空いたのか、いつものレストランに行きたいと。
今日は、彼女の言うままにしてあげたい。
今日は、精一杯彼女と楽しみたい。

半同棲17日目(2) ラストデート そして別れの言葉は?

恋人と別れる言葉

今までありがとう 。
短い間だけど、たくさんの思い出をありがとう。
あなたのおかげで少し大人になれた気がする。
本当にありがとう。
きみとの思い出を、私の大切な宝物にする。
もう何も言わないよ。
今までありがとう。
さようなら。

ホテル前から、いつもは1台のバイタクに一緒に乗るのだが、
この日はなぜか、別々だった。
僕に背後から密着されるのが嫌?
そりゃ、そうかもしれない・・・
あんなに大喧嘩した後だし、
嫌かも知れないな。

バイクは、ウォーキングストリート入口で停まった。
この脇のムエタイのリングのあるバービア街の奥が、
彼女の好きな、ビアガーデン、と言う名のレストランだ。
海の見えるサイドの席が彼女のお気に入り。
彼女は決まって、ステーキと生牡蠣とサラダを頼む。
注文はいつも彼女が僕の分まで頼んでくれる。
しかし今日は、何頼むの?と聞いて来た。
なぜかよそよそしい。
お互い黙って、それぞれの方向をじっと見つめている。
一緒に食事だが、席は一緒でも、心は既に離れていた

彼女は、メンソールの煙草に火をつけた。
僕は、彼女と半同棲をするようになってから、
2002年から禁煙していた煙草を、
吸い始めてしまった。
彼女が、2~3口吸った時に、
彼女の手から火のついた煙草を取り、
一服だけ吸ってから彼女に返す、
そんな、日常生活で当たり前の様な事が、
とても親近感を覚える。

喧嘩して仲直りした後、ふたたび彼女の部屋を訪れた時、
洗面所に僕の歯ブラシがまだ残っていたり・・・
僕のパンツが洋服ダンスにあったり・・・
そんな日常生活の名残があったりすると、
ますます離れられなくなる。

そんな事もあと数時間で終わりか?
そう考えると、胸が詰まる思いだ。
気持ちを込めた指輪も、女はお金にしか見えない

そう言えば、彼女にプレゼントした指輪やネックレス。
今日は付けて無い。
聞くと、お金が無かったから売っちゃった?
だって、シスターも全部売っちゃったから…
おまえなぁ、彼氏から貰った大切なものじゃないのかい?
大切じゃないから売ったのかぃ?
取られたとか無くしたとか先に言ってくれればいいのに、
つけて無くても平気でいるからまいった。
いつも獲物を狙う風俗嬢達は、今日も目を光らせていた

以前のタニヤ嬢もそうであったように、
彼女達、夜の女は金行に出入りしていて、
ひどい女は、お客が帰った翌日には売り払っているとか…
そして取られたとか言ってまた強請るとんでもない奴がいるんだ。

彼女もまたそんな女だったのか?
今となっては、どうでもいい事だけど… 
料理が運ばれ、お互い黙々と食べた。
一緒に居るのになんか空しい… 
でも今夜だけは笑顔でいたかった。

僕は彼女に突っ込んだ質問をした。

<カスタマーはいっぱいいるんだろう?
>うん
<日本人も?
>うん
<チップって最高いくら貰った?
>よく来る人がいて、1日で一万バーツくれた
<そう…

それ以上、その話は続けられなかった。

<僕の事、まだ愛してる?
>うん
<それはどういう事?
>一番大切な人
<でも僕はもう君には援助出来ないよ
>なぜ?

こいつ解って無い…
次のターゲットは誰?

<さっきなぜ喧嘩した?
>知らない、でも私の事を一番愛しているはあなた
<そうかも…でもそれは一番お金くれる人でしょう?
<さっき言ってた日本人の方がお金くれるでしょ?
>だって好きじゃない
<でもぶんぶんするんだろう?
>カスタマーだから

やっぱ、この子達の感覚をまともには受けられない。
好きな女が面と向かってボーイフレンドに、
他の男に抱かれる話なんて聞きたくない。
今日が終わったら僕もただのカスタマーになろう。
ここまで好きになってしまうとそう簡単に忘れる事は出来ない。

そうだよ、きっと僕は世界中で一番君を愛している
でも、僕は君も大切だけど、君より先が短い
だから僕も自分の幸せを考えたい
君からの愛を感じられない以上、
君の良きボーイフレンドではいられないよ

そう話しながらも、スマホをいじる彼女。
若いから仕方がない?
もう、そうは思えなくなった。

彼女が一言。

>明日からゴーゴーバーで働く。

少し前だったら、それを制したが、
今は一言、

<そう、どこで?

そんな話をしながら、彼女のあの言葉を思い出した。
そう、たかが”靴”…
それは、ゴーゴーバーで働く為の靴だった。
なるほど。。。
それ以上、その事は考えない事にした。

僕は彼女の踊る姿は最初の2回だけしか見ていない。
どんな踊りをしていたっけ?
顔ばかり見ていたからなぁ… 
彼女もまたコヨーテダンサーだった

でも、同棲すると、素顔の彼女しか見なくなった。
一度、喧嘩をした時、いまから働きに行くと、急に化粧をした時、
正直、こんなにきれいだったか?と思った。
まるで別人… 
もしかしたら僕はこの顔に惚れたのであって… 
と、考えるも、
いまはこの素顔(はっきり言って田舎娘そのもの)に惚れている
一度、惚れてしまうと、化けた顔なんてどうでもよくなる。
素顔の彼女が好きだ。

手を繋ぐのは、私の客!とアピールする意思表示

食事が終わり、彼女は友達の店に行きたいと言う。
また、テキーラ飲みまくるのか?
まあ、最後はパッとやろう。

店を出て、ウォーキングストリートを歩いた。
彼女を知っている女の子が次々と声をかけて来る。
僕も数人の女の子から声を掛けられた。
彼女は別に気にしない風であったが、
しっかり手を繋いでいた。
まるでこの人は私のお客、と言っている様だ。
ゴーゴーバーで働く女の子達は常に道行く獲物(お客)に目をギラギラさせている。
そして、普段から取った取られたの喧嘩が絶えないそうだ。
だから、一緒に歩くお客を取られまいとする行動は頷ける。

前に居たお店の前を通りかかると、一斉に冷やかしの声があがった。
実はここのママさんに婚約した事を話してしまったのだ。
いまさら、無しになった、なんて弁解は必要無いか… 
友達の店に入った。
あっという間にウエイトレス・ダンサーに囲まれた。
彼女ははっきりと、この3人だけ一杯ずつ、と言った。
一応、僕の財布を気遣っているのだろう。

一人の友達は一番仲が良いそうだ。
彼女がトイレに行った時、友達は僕に言った。

>あの子、いつもあなたの写真見せて、愛してる…って言ってるよ

嘘… 
信じられない…

友達からいろいろ聞いた。
どうやらそれは本当だった様だ。
でも、友達に言っても、直接僕に伝えてくれなければ、僕には伝わらない。
そして友達はもう一言、

>あの子、他に好きなカスタマーなんていないよ
<・・・

言葉に詰まった。
僕の本音は、僕をボーイフレンドと呼ぶながら、
他のカスタマーとぶんぶんするのがどうしても割り切れなかった。
考えてみれば僕だって、バンコクで突撃体験取材とかやっているので、
お互い様なのだが・・・
でも、僕は独占欲が強いから、

させないのでは無く、
自分の意志でするなら、
僕が引くだけだ。

閉店時刻が近づいている店内は、ほとんど客が居なかった。
彼女は、サロペットを脱ぎ去ると、ステージに上がった。
ポールを手にすると、踊り始めた。
さすが元コヨーテ嬢。
様になっている。
明日から、”元”が取れて、
コヨーテ嬢になるのだろう。
僕がその姿を見る事があるのだろうか?

彼女の友達は、今日はぶんぶんするの?と聞いた。
彼女は僕を見て、うん、と答えた。
どうやら、僕がぶんぶんさせなくて怒っていると聞いた様だ。
それだけじゃないんだけど、、、な。
勝手知ったるウォーキングストリートは、彼女の職場

まったり・・・、しかし僕達にはもうこれ以上は無い

店を出た。
彼女の友達も一緒だ。
タイ軍事政権は2014年10月14日に、タイ国内への、
水たばこ、電子水たばこ、電子たばこの輸入を禁止した。
だが、未だに専門店があちこちにある。
友達と一緒に行きたいと言う。
まったりするか… 

僕と彼女は交互に吸い口を咥え、スゥーハァーした。
あまり慣れていないせいか、呑み込んでしまい煙が出ない。
頑張って出そうとして、むせた。
彼女は、苦笑いしてる。




いったい何歳から吸ってるのか?
只々、黙々と煙をくゆらせ、スマホを眺めるだけ…

僕達は、手を繋いだり、寄りかかったり、きっと端から見たら、
女を連れ出した、インスタントカップルに見えるだろう。
今だけはそれが正解なのかも知れない。
明日のないカップル…

彼女の友達と別れ、ホテルに向かった。
まるで普通のラブラブカップルのようなセックスだった。
いつもこうだったら、僕はとても幸せだったのに。

こう言う光景は、きっと見納めになるのだろう

手切れ金は一万バーツ

彼女は、言った。

ご飯食べるお金だけ頂戴
いくら欲しい?
ママと子供の分、1000バーツだけでいい
そう…

ママと子供が同居し始めて、節約するためレンジやらジャーやら買いたいと言ってた。
明日からは毎日お金入るから大丈夫、と言ってたが、
僕は、そっと彼女のポケットに潜り込ませた。
財布には20バーツ札が数枚だけしか入っていないのを知っている。
アパート代は払ってあげたけど、今月のバイクのローンはまだ払っていないだろう。
無いと、また借金するんだろうな…
僕は、いままでのせめてものお礼を込めて、1万バーツだけ…
一瞬、彼女はびっくりしていた。
あんな喧嘩をした、それもお金の事を含めて・・・
だから、もう僕がお金を出さないと思ったのか?
でも本当にお金はこれで終わり、
これは手切れ金だ。

別れ際に僕は言った。

いままでありがとう
これでボーイフレンドは終わりだね
幸せにね。
僕もパタヤに来たらいいカスタマーになるよ。
彼女は、しばらく黙っていたが、
僕の目を見つめて、

まだ終わりじゃない
あなたは私のボーイフレンド
あっけらかんとした性格は、バカでは無いかと疑う事もあった

あれ?
もう、お別れでは無かったの?
彼女は僕と抱き合い、キスをすると、バイクで走り去って行った。
なんだか、彼女の気持ちがよく解らない。
単にお客を手放さない言葉なのだろうか?

僕もバンコクに戻り、そのまま授業を受けた。
なんだかとても疲れた1日だった。

そして彼女からのメッセージが届いた。
そこには…

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