第18話:ラン島で僕を悩ませた張本人と遭遇する羽目になった

約束が違う?

3ヶ月の約束で日本に来たけど、帰れるのは1年後か2年後かわからないと言われたそうだ。
冗談じゃない、そんな事・・・ほぼ監禁状態でビザ無の不法滞在での不法就労だ。
200万円稼ぐか、不法就労がバレルて強制退去されるまでは働かなければならないらしい。
強制退去になったら、2度と日本には来れないし、タイでの仕事にも影響があると言われたそうだ。
日本のボスはやくざっぽい人で、ママさんの言う事を聞かないとダメだ、と脅されたそうだ。
ママさんは台湾人で、優しそうな人だけど、何を聞いてもボスに聞かないとわからないと言う…

どうやら大変な事に巻き込まれたものだ。

明日、日本の彼氏が会いに来てくれる?

なにぃ!~??明日、日本の彼氏が会いに来てくれるって?シスターと僕の会話はこうだ。

「誰?」
「あの・・・、ラン島を早く帰った時の夜に会った人」
「え!・・・そんな人会いたくない、いい迷惑だったんだから」
「ごめんなさい」
「その彼氏にはこの事は話した?」
「うん」
「なんて言ってた?」
「来てから話を聞くって」

この姉妹はいつも一緒で、片方だけ日本に帰るなんて事はあるのか?
もし、どちらか一人だけ、なんて言ったら、間違いなく、彼女が、私が残るからシスターは帰って、と言うだろう。
僕はシスターはどうでもよくて、彼女の事だけ助けたいのが本音なのだ。
でも、こう言う言葉を彼女から聞きたくなかったので、なんとか方法を探っていたのだ。

彼女を救うには何をすればいいのか?問題が多すぎだ

・航空券はパタヤのボスが持っている…
・パスポートは本人達が持っている 
・ノンビザの有効期限は、あと一週間
・航空券の帰りの便も一週間後になっている
・借金がある訳では無く、ポスとの口約束だけで働いている
・目的のお金は3ヶ月働いたら貰える筈だったが、1年後か2年後になるかわからない
・それまではほぼ監禁状態
・勝手に帰ると、パタヤのボスがどう出るかわからない

航空券を手配して連れて帰るのは簡単ですが、この子達が戻って何をされるのか、それが心配だ。
また、日本のボスが簡単に手放すのか?
見たところ、お店で若いと言ったらこの2人だけだったし、お客が来ると、ママさんから真っ先に若い子が入ったから
とつけられていたそうだし、言葉は出来なくても、看板娘としては十分に使われている様だ。
ここは、シスターの彼氏にも協力してもらうしか無いか?
それにしてもその日本人、どんな人なんだろうか?話がわかる人ならいいのだが・・・

ラン島で僕を悩ませた張本人とメッセージで初対面

シスターがこう言った。

「いま、関西から深夜バスでこっちに向かってるって」
「連絡は取れる?」
「バスの中は話せないの、LINEのID教えるから連絡しくれる?」

見ず知らずの人と、いきなりのID交換は・・・この場合、仕方がないか

「わかった」

そして連絡を取った。やはり話は全部は伝わっていなかった様で、到着してから会う事になった。
彼女達は、僕達がなんとかしてくれるとでも思ったのか?その夜は、午前4時頃まで飲んで、歌っていた。
※日本人の助っ人に安心するタイ娘2人は、吹っ切れた様にはしゃいだ

その間も、お店の人が何度も覗きに来る様子。監視されているのだ。

店を出て、シスターはお店の車で宿まで連れて行かれた。僕と彼女は歩いてホテルへ。
手を繋いで、その手を僕のポケットに入れて… 途中、派出所があったが、まだビザが切れている訳では無いから大丈夫。
彼女は、僕にぴったりとくっついて来た。
ここ日本の地で、2人並んで歩いている姿・・・いつかは日本に連れて来ようかと思っていたが、こんなに早く実現してしまうなんて… 
出来れば、ディズニーランドとか、渋谷・原宿とかで、そうなりたかった。とても寒さが厳しくて、吐く息が真っ白だった。
楽しそうに吐く息を見る姿は、とても無邪気で、思わず抱きしめて、唇を求めてしまった。

つづく。

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