第14話:初めての怒りの中で、本当は何を求めたいのかが見えた

台無しのラン島事件の結果は、まさに放置プレー

>波はますます高くなり、遠くのパタヤの街明かりが見え隠れしていた。今頃、彼女達はパーティーか?さあ、どうしようか?

Yさんも、もういい、とホテルに戻ることにした。僕は本心、帰りたかった。
最悪だ… ラン島では夜は遊ぶ所も無く、セブンで食事を買い、海の見えるテラスで男談義をした。
ホテルの従業員が一部始終を見ていて、女を連れて来るか?と言うが、2人ともそんな気分では無かった。
女は相手によって、最高のムードで楽しめるラン島も、選び間違えるとこの様な悲惨なラン島にもなってしまうのだ。

まさか自分達のしている事がバレルとは思ってなかった?

夜中、パタヤで遊んでいるNさんから電話があった。
いまウォーキングストリートで遊んでいるが、あの姉妹を見かけたと言うのだ。
そんな筈は無い…今はパーティーに行っている筈だが…
人違いでは?
そんな期待もあえなく崩れた。Nさん、信じたくないだろうけどこれが真実、と写真を2枚送って来た。
慌てて撮ってくれたのだろう。ブレてはいるがあの姉妹に間違い無い…言葉も出なかった。
その写真には日本人客の両脇にぶら下がる様にしてウォーキングストリートを歩く姉妹の姿があった。
そしてもう1枚は、3人でゴーゴーバーに入って行く姿だった。

※どうせ、バレない…だからってこんな事をするって、裏切り行為では?

彼女の告白

深夜、彼女から電話があり問い詰めると、悪いのはすべてシスターだと言う。
あれはシスターのお客で、ホテルへついて行ったけどエッチはしていない、ずっとトイレで待っていた、と。
お願いだから私を信じて!… それも本当かどうか… 1度疑ったら彼女との仲はギクシャクしてしまった。
もしかしたらこのままバイバイかな?それにしても波乱万丈の元旦だった。姫初めだけは出来たのが唯一の救い。
実は別の収穫もあった…ラン島の女手配師と知り合いになった事、もっとも男だけでラン島に行く人はあまり居ないだろうが…

ラン島で彼女と遊んだ。
ラン島で彼女とエッチした。
ラン島で一泊した。
念願は叶っているが…

ラン島まで来て、なんで一人寝?彼女達には僕達より大切な人が待っていた?乙女心くそくらえ、です。
こっちが一人寝で寂しい思いをしている時に、他の男と手をつないで… 
どうしても外せない大切なお客様だったんでしょうね。って
僕は解かってあげちゃうのか?どうしても理解できないよ。

彼女を許す?許さない?

実は一晩中彼女の事を考えている自分がいた。あれだけの事をされたのに… 当然許す筈が無い自分と、謝れば…などと思う自分がいた。
彼女はシスターのせいにしているが、シスターは人当たりは良さそうだが、蓋を開けるとかなり調子がいい。
これだけ仲がいいのだから、姉妹を離す事は出来ないだろう。もう1度だけ話してみるか。

彼女は謝る?謝らない?

パタヤに戻り、ホテルにチェックイン後、マッサージを受けながら彼女の事を考えていた。ちょうどその時だ。
彼女からメッセージが届いた。何通も何通も。ソイ6でYさん達が遊んでいる間、ビーチに出て、彼女からのメッセージをじっくり読んだ。
そして、どうしても解って欲しい事を伝えたくて、電話をした。

「彼氏を置き去りにして、お客と手をつないでゴーゴーバーで遊ぶか?」
「ごめんなさい」
「彼氏を置き去りにして、シスターのお客とてを繋いで歩くか?」
「ごめんなさい」
「エッチしなければいいの?」
「お願いだから私を信じて!」
「その時、置き去りにして来た彼氏の事はすっかり忘れていた?」
「・・・」
「君にとって、僕と言う彼氏はそれだけの人だったの?」
「違う」

あのなぁ。。。なにがビリーブミーだ!?めったに切れない僕だ、さすがに切れた。
もう別れてもいいかな…とさえ思った。でも、必死に弁解する彼女の言葉には、自分を弁護する言葉しか見当たらず、僕の気持ちをわかっていない?

随分長いやり取りがあった。30歳以上離れたおやじに、弁解・謝罪を繰り返す彼女。そんな姿を感じながら、僕の気持ちは徐々に彼女を許しつつあった。
彼女、まじで僕とは別れたくないようだ。こんなおやじのどこがいい?
僕にとっては掛けがえの無い存在になりつつある彼女だったが、まだ、単に金づるを逃がすまいとしている下心が見え隠れしているのも解った。
本音をぶつけて見て初めて解った彼女の気持ち。まだ若いから、仕方がない部分もあって当然。
お客慣れしているから、ごく普通に出てしまう行動も、彼氏になるには、そんな所もひっくるめて理解してやらなければならないのか?
一度、そう思うと、許せなかった事が、一気に崩れて行った。

「もう1度聞くよ?」
「うん」
「本当に悪いと思っている?」
「うん、ごめんなさい」
「またこんなことをしたら、もう終わりだよ?」
「もうしない」

電話口で泣きそうな声が聞こえた。

つづく。

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