タイ人が愛してやまない「クーカム」

突然ですが、タイで一番有名な日本人の苗字は何かご存じですか?
鈴木? 田中? 佐藤? 吉田? 本田? ・・・。

色々な苗字を思い浮かべると思いますが、おそらくタイで一番有名な日本人の苗字は「コボリ」です。

日本でそんなに多くない「コボリ」という苗字が何故タイで広く知られているのか?
その理由がタイで一大ムーブメントを起こした「クーカム」という作品が大きく関係していると言われています。
タイ国民の99%が知っていると言っても過言ではないくらい有名な「クーカム」
日本だと忠臣蔵や新選組レベルの知名度を持つ作品ではないでしょうか。

タイの女流作家のトムヤンティさんが軍人であった父から聞かされた話をもとに
1957年に発表された小説「クーカム」が原作で、1970年に最初にドラマ化されてから、何回もドラマや映画としてリメイクされています。

ドラマ化

1970年
1972年
1978年
1990年
2004年
2013年

映画化

1973年
1988年
1995年
2013年

ドラマ化6回、映画化4回、このリメイクの回数の多さ!それだけタイ人に愛されている作品だという事でしょう。
特に人気だったのが1990年に制作されたドラマ版で、その人気っぷりはもはや伝説となっているそう。

ドラマが放送されている時間帯は全国のタイ国民がテレビに釘付けのためタイ全国の屋台が無くなり歩道が閑散としていたとか(本当かw)
車を運転している人が少なくなり渋滞の激しいバンコクから渋滞が無くなったとか(本当かw)

クーカムの簡単なあらすじ

舞台は第2次世界大戦中のバンコク。
日本の同盟国だったタイに進駐した日本軍コボリ海軍大尉と、タイ人女性アンスマリンの悲しいラブストーリー。
とある造船所の所長としてやって来たコボリが、美しいが気の強いアンスマリンの反発に合いながらもお互い惹かれ合う。
タイ軍の上層部にいたアンスマリンの父親の陰謀も手伝って結婚するが・・・。

人気の秘密

主人公のコボリは日本人という設定なので、タイ映画なのに日本語が話されることも多い。

主人公コボリには毎回トップアイドルが起用されているのも人気の秘密だろう。
2013年版の映画でも「好きな俳優」で1位を獲得したナデート・クギミヤさんが主人公コボリを演じている。

日本で言えば嵐のメンバーで新選組をやるようなものかな。 確かに視聴率は凄そう・・・。(面白くは無いと思うが)

クーカムがタイ人女性に与えた影響

この作品に出てくる日本人男性は

・ヒロインの女性に嫌われても、一途に想いアプローチを続ける
・自らはルールを守り、守らない相手には非常に厳しい

・・・などタイ人から見た日本人のイメージに近く、またタイ人が理想とする日本人男性を表現している

作品内で、わがままな態度をとるヒロインのタイ人女性に、超一途に尽くし愛を誓う日本人男性。

基本的にタイ人女性は日本人女性に比べ、わがままな子が多いと思う。もちろんそうでは無いタイ人女性もいるが、基本的にわがままw

それに加えてクーカムの影響により、日本人男性は多少のわがままなら聞いてくれると思い、日本人に対しては「必要以上」に「意識して」わがままを言う。
つまり自分がヒロインになった気分に浸ることが出来る。

しかしこんな悪い影響ばかりでもない

当時、日本の同盟国になったばかりに、多くの被害が出たタイ。
それにも関わらず、タイは大の親日国として知られている。これが全てではないだろうが、一因に、タイ人の愛するヒーロー「コボリ」が関係していることは想像できる。

タイが作った作品のおかげで日本人へのイメージがよくなるというのは、純粋にとても嬉しい。

是非、日本とタイの合作でリメイクして頂きたい。